認知症について

高齢者の方の介護の中でも、認知症の方の介護は大変なことが多いと言われています。実際に、厚生労働省の2019年の国民生活基礎調査によると、介護が必要となったきっかけの順位でも第1位にもなっています。認知症の特徴、また介護の特徴についてご紹介していきます。

認知症について

認知症は、老化による物忘れとは異なります。例として、認知症の方には下記のような症状が見られます。

・自身が体験したことをすべて忘れる
・ヒントを与えても思い出せない
・買い物に行ったことを忘れて、また同じ買い物に行く
・日付や曜日などがわからなくなる
・なくした物を、誰かに盗まれたと思ってしまう
・ごはんを食べたことを忘れる
・自分が忘れていること自体を忘れている

また、認知症には様々な種類があり、それぞれの原因や主な症状も異なります。下記は代表的な3つを取り上げました。

種類原因主な症状
アルツハイマー型認知症脳にタンパク質がたまり、脳細が損傷・神経伝達物質が減少することで発症記憶障害・判断能力の低下・見当識障害・心理症状(BPSD)
レビー小体型認知症レビー小体という構造物が神経細胞にたまることで発症認知機能障害・幻視・幻聴・パーキンソン症状
脳血管性認知症脳の血管が何らかの原因で敗れたり、詰まったりすることで生じる脳血管障害の後遺症記憶障害・見当識障害・実行機能障害
Q
認知症は治療により完治することはないのでしょうか?
A

認知症は、徐々に症状が進行していく進行性の病気です。治療により症状が緩和するものもありますが、現代の医療では根本治療薬はありません。治療によって進行を緩やかにし、穏やかな暮らしを目指しましょう。

認知症によって考えられるトラブル

初心者ちゃん

一人暮らしの親が、初期の認知症と診断されました。どんなことに注意したら良いのでしょうか?

想定されるトラブルを知って、対策を講じましょう

火の不始末

物忘れによって、火をつけたことを忘れつけっぱなしにしてしまう。最悪の場合、家事にもつながります。

ゴミ捨てができない

生活が不規則になり、掃除やゴミ捨てをしなくなります。その結果、家がゴミだらけになってしまうことも。

金銭管理が上手にできない

同じものをいくつも買ってくる・特殊詐欺や悪徳商法に騙されるなど、正常な判断を伴うお金の管理ができなくなります。

トイレで失敗をしてしまう

尿意や便意をコントロールすることができずに失禁したり、おむつやパットを嫌がって寝具を汚してしまうようになります。

徘徊や交通事故

散歩に出かけて自宅がわからくなって戻れなくなったり、車の運転中に判断ができずに交通事故を起こしてしまいます。

認知症の予防に有効なものは?

認知症の中には、20~30代という若いうちからゆっくりと進行するものもあります。よって、将来の重症化を防ぐためには、早くから意識して予防していくことが重要です。運動をする禁煙をする過度な飲酒を避ける正しい食習慣を身に着ける等、生活習慣病の予防がそのまま認知症の予防にもなります

60代以降になると、これまでの食事・運動・喫煙・飲酒習慣などの積み重ねがあらわれやすくなり、認知症のリスクが非常に高まります。ですが、遅すぎることはなく、何歳からでも早めの行動が認知症予防につながります

認知症予防のための生活習慣①適度な運動

運動をすることで脳が活性化し、脳の機能が鍛えられます。また、血流が良くなることで脳や全身の細胞に酸素がいきわたり、細胞の活性化も期待できます。

特に、体を動かしながら何かを考えることは、脳の多くの機能を同時に使い、結果的に認知症の予防に効果的だと言われています。

認知症予防のための生活習慣②十分な食事と睡眠

脳は低栄養状態や疲れている場合にも十分に機能できません。

このような状態でいくら運動や知的活動を行っても、脳のパフォーマンスは上がらず、十分な効果は得ることができません。

バランスの良い食事をとり、生活習慣を整えることも、認知症予防に効果的なのです。

認知症予防のための生活習慣③知的活動

手指を使う知的活動は脳に良い刺激をもたらします。脳トレやゲーム、塗り絵など、複数の脳の部位を同時に使うことができます。

また、読書やカラオケ、囲碁や将棋、手芸や友人とのおしゃべりなど、好きなことを楽しく行うことも脳の機能向上にとても役立ちます。

特に人との交流は、伝えたいことを言葉にしたり、相手の話に合わせて返答を考えたり、相手の様子から感情を読み取るなど、脳を刺激することにつながり、認知症予防と進行を遅らせることに関して非常に効果的なのです

認知症介護のポイント

認知症の方の介護を行う際は、認知症は病気であることを理解し、相手の気持ちをきちんと認めてあげることが重要です。物忘れや失敗が増えることにより、自分が自分でなくなっていく様子に、本人も不安を抱えて過ごしています。そんな中、怒られたり、否定されることがあると
相手の気持ちに寄り添わない一方的な介護では、不快感を与えたり、自尊心を傷つけてしまう結果となってしまいます。特に、怒ったり、否定したりするのはやめましょう。

あい里での認知症ケア

あい里では、認知症の方にも安心してきていただけるよう、専用スペースを設置し、認知症の最新の知識やケアを学んだ介護職員を毎営業日に1名以上配置しています。

専門のケアをご提供し、ご家族の皆様にも安心していただけるよう、努力しております。

介護者のレスパイトケアも重要

介護をする側も、言ったことを理解してもらえなかったり、介護拒否がある場合は思うように介護ができないことへの苛立ちや悲しみなど、ネガティブな感情を抱きがちです。ストレスがたまると、介護者自身がうつ病になってしまったり、認知症患者への虐待に発展する恐れもあります。

大切な家族を介護しているとはいえ、介護疲れは誰にでもあることです。そんな時こそ、介護保険で利用できる介護サービスを利用し、「レスパイトケア」をしてみましょう。

「レスパイト」とは休息・息抜きを意味します。介護者が一時的に介護から離れ、リフレッシュを図る介護者のためのケアを意味する言葉です。下記のサービスはあい里でも提供していますよ!

・送迎を含み日中に入浴や食事を提供してくれる通所介護(デイサービス)
・1日~30日まで利用できる短期入所生活介護(ショートステイ)

認知症についてのご相談も、、介護相談窓口からお気軽にお問合せください。介護のプロであるあい里の職員が対応させていただきます。